映像部会

映像部会活動の今後への展望~演出空間を拡げる新しい映像メディアの展開~

平成28年(2016年)8月1日に、衛星放送(BS)によるスーパーハイビジョン(8K)の試験放送が開始された。連日ブラジル・リオデジャネイロから送られてくる、スーパーハイビジョン(8K)による熱戦の模様は、全国に展開されている大スクリーンや大型のディスプレイによるパブリックビューイング会場に、多くの聴衆を集めている。
映像部会の主たる活動は、大型映像を中心とした劇場演出空間における映像設備および運用に関わる技術動向の調査研究を進めることにある。パブリックビューイングを始めとして今後の劇場等ライブ空間において、ますます活用が広がる映像システムの運用に資する指針の取りまとめや、データ収集、情報提供活動などに重点を置いている。
平成32年(2020年)の東京オリンピック・パラリンピックの開催時には、放送分野では次世代放送システム4K、8Kシステムの実用放送が開始されることになっている。
高解像度映像技術の開発は、プロジェクターの高機能化、ディスプレイシステムの大型化、高画質化、サラウンド音響環境の高品質化を促進し、放送事業だけではなく、広くエンターテインメント、サイネージ、パブリックビューイングなど、幅広く産業分野にも変革をもたらしてきている。
(参考資料 総務省HP 「衛星基幹放送における超高精細度テレビジョン放送に関する今後のスケジュール」
この様な進化の速度の速い映像分野の日々の情勢変化に対応して、幅広い領域に亘る情報を、迅速に収集し、JATETの活動基盤に資する議論と資料の収集整備を行い、JATET会員への情報フィードバックに注力して行くことにしている。

映像部会の活動は、基本的には毎月の定例部会を兼ねた研究会を開催し、活発な議論と共に、最新動向を把握するため、海外の展示会、学会等を含めて、業界内の現場調査等に積極的に取り組んできている。
これまで、JATET規格として「JATET-V-2020 自発光方式大型映像装置用語解説集」および「JATET-V-1010 仮設に於ける大型映像装置の安全運用指針」を取りまとめ、平成23年11月に制定し、平成26年10月に改定を行って、劇場演出空間における映像システムの運用に大きな成果をもたらした。この二つの規格はJATETホームページでの公開を行っている。
更に、「主な大型映像装置の分類」の改定に引続く「大型映像装置に使用される主な映像解像度一覧表」、「ディスプレイコネクター一覧」、「映像フォーマット一覧」(HDTVを始めとする高精細映像システムによる映像制作で使われている映像フォーマットの多様性に伴い、映像システムと外部設備とのインターフェイスが課題となってきている。当面一覧表化して部会員が共有する情報として取り纏めたが、今後の活動の中で調査を継続し、十分な情報フィードバックを行うためには、JATET全体での体制整備が必要になると考えている。
映像部会が日常的に研究・調査を進めている、劇場演出空間における映像システムの役割は日増しに増大してきており、対応が必要となる諸課題も多様に提起されてきている。現在は、主に次の諸点に関しての研究・調査を進めて行くことを、映像部会のテーマとしている。

  • 劇場演出空間において、映像システムの活用は確実に拡大して来ているが、多くの場合が劇場演出空間に機材を持ち込み、仮設の設備を構築して対応している。これ等持込機材に対する電源供給を含めて映像インフラ系に対する劇場、ホール側の整備が必要であり、これに向けた指針を示すことが求められている。劇場、ホール等における電源事情等について、状況把握から始めることにしている
  • 劇場内の映像インフラ(専用回線=光回線、ネットワーク、専用電源など)の整備と共に、近年急速に進められているデジタル化による映像や音声の遅延等に関する課題も、劇場演出空間に関わる人々の共通の理解がなされる必要がある。
  • LEDディスプレイを始め、大型のディスプレイが舞台背景として活用されるケースが増えてきたと共に、劇場における無線周波数の利用における混信や電磁誘導によるノイズなどへの対応なども課題として提起されている。

今後、以上の問題認識を研究会の共通理解にした上で、それぞれの課題について調査、研究、議論を進めて、課題解決に向けた指針の策定を目指した取り組みを進めて行く予定である。映像メディアが、劇場演出空間で有効にかつ安全に運用できるようにするためには、建築、機構、音響、照明など各分野の連携が不可欠であり、各領域からの映像部会への参画を期待している。