世田谷区民会館の舞台音響設備
ヒビノスペーステック株式会社 結城芳弘
1.はじめに
世田谷区民会館は2021年1月から長期休館し、2024年9月にリニューアルオープンした。
この章では933席のホールの舞台音響設備について解説する。
2.多彩なアプリケーションに適したシステム

dLive System構成
今回、オーディオネットワークとして採用したのは、オーディオが必要な場所に自由に配置することができるAllen&Heathの「dLive」システム。最大96kHz 128chの双方向通信を実現し、プラグアンドプレイの実現でコンピューターまたは 外部ルーティングソフトウェアを必要としないので、設定等の煩わしさを低減させている。
3.舞台音響設備
1)スピーカー構成
メインスピーカーシステムはCODA AUDIOで統一しており、プロセニアムスピーカーはリニアフェーズを実現し、最大音圧139dBという高出力かつ高音質で、軽量小型でポータビリティーにも優れた2-Wayアレイアブル・ポイントソース(点音源)・スピーカーシステム の「N-APS」を採用。少ない数量で広いカバーエリアを実現している。
サイドスピーカーは1台15kgの小型軽量キャビネットで最大音圧143dB、高効率な3-Wayラインアレイ・スピーカーシステム 「N-RAY」を7台、サブウーハーとして15インチ×1の「SCN-F」を2台、インフィルとして「HOPS8」を1台の1対抗で構成している。
メインスピーカーの他にステージフロントスピーカーを5台、効果用の集中シーリングスピーカーを4台+サブウーハー1台、効果用のウォールスピーカーを16台配置している。

ホール内メインスピーカー配置

効果用ウォールスピーカー
2)舞台音響設備
音響調整卓はAllen&Heathの「dLive S5000」を採用。強力なプロセッシングと96kHzの高解像度で高音質を実現するXCVI Coreを搭載し、本格的なライブや劇場でのショーに対応できるデジタル・ミキシングコンソール。2階客席最後部の音響調整室からAllen&Heath独自プロトコルの「S-link」にてパワーアンプ室まで伝送、デジタル回線でデジタルマルチプロセッサー BSS AUDIOの「BLU-160」へ接続する。また、バックアップのアナログ回線も同様に「BLU-160」に接続している。デジタルマルチプロセッサー 「BLU-160」へ送られた信号は、デジタル信号にてCODA AUDIO「LINET MASTER」へ接続、信号の分配を行いパワーアンプのCODA AUDIO「LINUS14」へ接続し、スピーカーへと至る。

ホール 音響調整室

ホール パワーアンプ架
3)舞台連絡設備

ホール 舞台下手袖
舞台下手袖に設置した舞台連絡設備架へ「S-Link」で音声を伝送、マトリクスプロセッサー Allen&Heath「AHM-64」へ接続し、運営系及び楽屋周りのスピーカーへサービスを行っている。舞台連絡設備架には楽屋呼出のシステムも用意されており、楽屋や練習室・事務所・スタッフ室への個別呼出の機能も備えている。
4)映像モニター設備
客席後部に設置されたPTZカメラ、暗視カメラ、客席内及び舞台袖に設置された暗視カメラで安全な運用を担保している。映像はHD-SDIで伝送され舞台下手袖のマトリクスセレクターで分配し、舞台運営に関わる箇所ではカメラ映像を切り変えて表示を可能とした。楽屋等に関してはTV共聴にて各室に伝送している。
4.おわりに
舞台音響設備は施主である世田谷区様をはじめ、各工事関係の皆様のご協力とご尽力により完成することができた。
この場をお借りし、工事に関わられた全ての皆様に厚く感謝申し上げる。
