ひらしん平塚文化芸術ホールの舞台機構設備
三精テクノロジーズ株式会社
舞台機構事業本部 設計部 和田美香
制御設計本部 第一設計部 三上大介
1 機構概要
大ホールには、吊物バトンのほか、音響反射板、オーケストラ迫り、客席ワゴン、プロセニアム開口可変装置などを備えたプロセニアム形式のホールです。以下に主な装置一覧を記載いたします。



2.大ホール
1)音響反射板

音響反射板
大ホールの音響反射板は、天井、側面、正面を分割し、ぶどう棚より吊り下げる従来通りの方式を採用しています。設置時には間口幅20m、間口高さ12m、奥行き12mを確保できます。側面反射板には客席、中央側に小扉およびピアノ扉を設置し、さまざまな公演・パターンに対応ができる出入り構造としています。仕上げ形状との一体感を損なわないように、扉サイズや設置位置を検討し、打合せを行いました。天井反射板の舞台奥側には固定バトンを設置しており、天井反射板セット中にも吊物バトンとして使用することが可能となっています。
2)プロセニアム可変装置
ティザー(電動昇降)およびウイング(手動開閉)を備え、プロセニアム間口18m~20m、高さ8~12mの範囲で調整可能です。ティザーの昇降装置は、マシンギャラリーやぶどう棚ではなく、客席側プロセニアムすのこに設置しています。ウイングは壁面からレール設置用ピースを取り付け、走行レールを設置、床面にガイドレールを設置することで、壁面との隙間を最小限に抑えたコンパクトな納まりを実現しています。

ティザー裏側

ウイング裏側、レール
3)床機構
客席にはオーケストラ迫りを設置し、床面を演奏面の高さに設定することでオーケストラ迫りとしての利用はもちろんのこと、前舞台面の高さに設定することで舞台面を拡張した利用も可能です。また、オーケストラ迫りに3分割の客席ワゴンを乗せることで客席としても利用できます。客席下にはワゴン庫を設け、ワゴン格納用レールは床面とフラットに仕上げており、歩行性に優れた構造となっています。

前舞台仕様

.ワゴン庫
4)バトン類

マシンギャラリー
舞台上の吊物機構は全て電動昇降式です。引割緞帳・暗転幕・道具バトン・大黒幕にはINVモータを採用する事で可変速を可能としており、演出の幅を広げる事ができるようになっています。
また、道具バトン・照明バトン共に、レベル設定機能、積載表示機能を有しており、再現性・安全性に配慮したものとなっています。
5)制御及び操作卓について

.大ホール操作卓
舞台下手袖に移動式操作卓を採用しており、吊物機構・音響反射板・床機構を運転することができます。操作釦は9軸のグループ運転釦に加えて、演出上直ちに運転操作を行いたい引割緞帳やオーケストラ迫りには装置割付不要な専用運転釦を設けています。
操作卓に搭載されているタッチパネル式ディスプレイを使用することで、3メモリを設定できるレベル運転やグループ運転をする事が可能です。
3.多目的ホール

グリッドバトン
平土間形状の多目的ホールにはグリッドバトン3台とホリゾント幕を備えています。音楽、演劇、ダンス、講演会、レセプションなど多目的に利用するホールに対し、グリッド状のバトンを設ける事で吊物設置個所の制約を抑え、自由にレイアウトができるようになっています。

多目的ホール断面図
おわりに
コロナ過における打合せおよび施工期間を経て、無事に竣工を迎えることができました。これもひとえに関係者の皆様のご協力の賜物です。本劇場の建設に関わっていただいたすべての方々に、心より御礼申し上げます。
