![]() |
|
富士見市民文化会館 「キラリ☆ふじみ」 見学会記 | |
永池雅人(JATET建築部会委員、梓設計) | |
平成14年11月22日(金)にJATET主催で富士見市民文化会館「キラリ☆ふじみ」見学会が開催された。当日は「キラリふじみ」建設に際しコンサルタントをつとめ、「キラリ☆ふじみ」運営アドバイザーでもある近江哲郎氏の司会により、当施設の館長である関繁雄氏や、設計を担当されたA&T建築研究所の進藤誠治氏らのお話も伺う事ができ、大変有意義な会となった。また、開会に先立ち久保田事務局長よりJATETの組織について、今までの教育研修委員会、国際委員会、広報委員会が統合して事業委員会となり、今後見学会等の事業を担当する旨の説明があった。 建設の経緯 建設の経緯について関館長より以下のような説明がなされた。 富士見市民文化会館建設に向けての着手は、平成9年5月の建設検討委員会発足に遡る。その後平成10年5月には基本構想が、また、同10月には基本計画が策定され、これを受けて平成11年3月に、コンペ方式により設計者としてA&T建築研究所が選定された。翌平成12年3月に実施設計が完了し、6月には建物本体の建設工事が、引き続きその6ヵ月後には舞台関連の各設備が着工した。そして約28ヶ月の工期を経て、平成14年9月に竣工し、11月に開館の運びとなった。 市民参加 市民参加の概要について近江氏より次のような説明がなされた。 富士見市民文化会館は、その周辺に埼玉芸術劇場や所沢ミューズなど競合する施設が車で30分程度の所に点在する中で、その特色を打ち出すために市民参加、市民参画を実践してきた。最初は平成12年5月に、26名の委員により運営検討委員会を発足させると共に、基本設計について市民との対話を実施した。また、平成13年5月には会館記念事業実行委員会が発足し、招聘鑑賞、市民参加、美術工芸の3部門に分かれて活動を開始した。同時に市民限定で愛称の公募を行い、約300件の応募の中から「きらり☆ふじみ」に決定した。 平成14年2月ホールボランティアとして「キラリスト」を募集し、当面はレセプショニストとアートスタッフの2部門を構成し、将来的にはホールスタッフも育成したいとのことであった。 施設の特徴 「キラリ☆ふじみ」はメインホール、マルチホールをはじめ、スタジオやアトリエなどの文化支援施設も充実した大変特徴的な施設である。 メインホールは802席の固定席を持つ劇場型多目的ホールで、囲み型客席配置となっている。これはワインヤード型のエッセンスを取り入れ、1階席とのかぶりをなくしたもので、A&T建築研究所が一貫して採用している客席スタイルである。客席壁面はすかし壁と照明の演出により幻想的な空間を作り出している。また、椅子の背と足元を利用した座席空調により、効率良く快適な居住環境を実現している。 舞台吊り物はオール電動で巻き取り式とトラクション方式を併用し、脇舞台を有効活用するため綱元は2階レベルに設置されている。一方床機構は仮設の脇花道のみとシンプルな構成としており、コストパフォーマンスもさることながら、全体として使い勝手を考慮した明快な思想を感じさせる。 対するマルチホールは、徹底して手動にこだわった多機能型ホールである。中でも手動ウィンチ方式によるバトンは予想以上に動きがスムーズで、他施設への展開の可能性を感じさせるものであった。また、残念ながら当日動かす事はできなかったが、ホールとホワイエ、コリドーさらには屋外との間の壁やサッシがすべて開放可能とのことで、さまざまな使い方や演出のアイデアを喚起するものと思われる。 「きらり☆ふじみ」はその外構も大変特徴的である。コリドーに面したカスケードや既存の水路の水を利用したラグーンなど、富士見の豊かな水を象徴した演出がなされており、「天気が良ければ水がもっときれいなんだが。」と言う進藤氏の残念そうな言葉が大変印象的であった。 おわりに 今回の見学会にあたり、全面的にご協力をいただいた関館長をはじめとする会館のスタッフの皆様、説明や案内をしていただいたコンサルタント、設計者、各舞台設備の施工者の皆様、そしてこの見学会を企画運営していただいたJATET事業委員会および事務局の皆様に厚くお礼申し上げます。 なお、会館の詳細をごらんになりたい方は、次のURLをご覧ください。 http://www.city.fujimi.saitama.jp/culture/index.htm |
|
見学会の写真 | |
![]() |
![]() |
■メインエントランス | ■中庭越しにメインホールを望む |
|
|
![]() |
![]() |
■マルチホール前面テラス | ■シンボリックにデザインされたアトリエ |
|
|
![]() |
![]() |
■マルチホールでの説明 | ■当日の司会進行役 近江哲郎氏 |
(JATET建築部会副部会長、A.T.Network代表、 キラリ☆ふじみ運営アドバイザー) | |
|
|
![]() |
![]() |
■メインホール客席 1 | ■メインホール客席 2 |
|
|
![]() |
![]() |
■楽屋 5(大部屋) | ■楽屋 1(個室) |
|
|
![]() |
![]() |
■メインホール空調椅子 | ■マルチホール手動バトン昇降装置 |
|
|
富士見市民文化会館 キラリ☆ふじみ施設概要 名 称 : 富士見市民文化会館 キラリ☆ふじみ 所 在 地 : 埼玉県富士見市大字鶴馬1803番地1 敷地面積 : 19,938.50u 建築面積 : 5,581.10u 延床面積 : 7,358.58u 構 造 : 鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造 主要施設 : メインホール、マルチホール、 文化支援施設(スタジオA・B・C・D、展示・会議室、展示室、アトリエ) 設 計 : (株)A&T建築研究所 劇場技術 : A.T.Network 舞台機構 : 森平舞台機構(株) 舞台照明 : 丸茂電機(株) 舞台音響 : 日本無線(株) 【メインホール諸元データ】 客席 観客収容数 : 802人(車椅子用対応18台分有) 1階席 628人 、2階席 174人 客席形式 : 複床式 2層 舞台 主舞台規模 : 幅16.3m、奥行き14.5m (約236u) プロセニアムアーチ : 幅16.3m、高さ9.0m 袖舞台規模 : 下手 幅9.85m、奥行き14.4m 上手 幅10.5m、奥行き14.4m 大道具搬入口: 幅5.0m、高さ3.0m 楽屋 大楽屋(約51.2u)1室、中楽屋(約30.0u)2室、小楽屋(約21.6u)2室 残響時間 1.8秒(500Hz)音響反射板設置、空席時 【マルチホール諸元データ】 客席 観客収容数 : 255人(車椅子用対応4台分有) 移動席 189人 、置き椅子席 66人 客席形式 : 単床式 1層 舞台 主舞台規模 : 幅8.8〜13.0m、奥行き6.7m(約58.9〜87.1u) プロセニアムアーチ : 幅8.8m、高さ4.5m 袖舞台規模 : 下手 幅3.8m、奥行き6.3m 上手 幅4.0m、奥行き6.0m 大道具搬入口: 幅2.8m、高さ3.0m 楽屋 中楽屋(約23u)2室、小楽屋(約11u)2室 残響時間 1.8秒(500Hz)音響反射板設置、空席時 |
|
|
|
見学会進行表 | |
社団法人 劇場演出空間技術協会 | |
富士見市民文化会館「キラリ☆ふじみ」見学会 | |
日時:2002年 11月 22日 (金) 13:30〜16:00 集合:マルチホール・ホワイエ付近で受付(誘導表示を各所に設置) 開催要領 (敬称略) 1.受付[13:00〜13:25] マルチホール・ホワイエに受付用机2台設置 2.全体説明会[13:30〜14:00] at:マルチホール客席 開会:久保田 正彦(協会事務局長) 司会:近江 哲朗(協会技術委員会建築部会副部会長 A.T.Network代表、キラリ☆ふじみ運営アドバイザー) 挨拶:関 繁雄(富士見市民文化会館・キラリ☆ふじみ館長) 説明:進藤 誠治(株式会社 A&T建築研究所 設計部長) 小口 恵司(株式会社 永田音響設計プロジェクトチーフ) 近江 哲朗 ⇒キラリ☆ふじみと周辺環境 ⇒運営組織と市民参加による運営支援 紹介:舞台機構設備 西村 卓也(森平舞台機構(株)) 舞台照明設備 北岡 和生(丸茂電機(株)) 舞台音響設備 伊東 五朗(日本無線(株)) 3.マルチホール説明会[14:00〜14:30] at:マルチホール客席〜舞台 説明:近江 哲朗 マルチホールの特徴 見学:客席から舞台へ(希望者のみギャラリーへ) 4.メインホール説明会[14:30〜15:30] at:メインホール客席〜舞台 説明:近江 哲朗 メインホールの特徴(ホワイエ、効果室経由後) 見学:ホワイエ〜客席(自由見学)、効果室(希望者のみ)、舞台、楽屋 綱元・スノコ(希望者のみ) 5.質疑応答[15:30〜16:00] at:マルチホール客席 司会:近江 哲朗 応答:関 繁雄・進藤 誠治・小口 恵司・近江 哲朗・西村 卓也・北岡 和生・伊東 五朗 6.閉会[16:00] at:マルチホール客席 閉会:久保田 正彦 |
|
|
|
会場案内図 | |
平面図 1 F(見学順路) | |
![]() |
|
平面図 2 F(見学順路) | |
![]() |
|
平面図 3 F(見学順路) | |
![]() |
|